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LPS研究紹介

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LPS研究紹介

マクロファージと糖脂質の最近の話題(37)

環境に適応した体温調節に関わる脂肪組織特異的マクロファージについて

 脂肪と言うと多くの方は肥満を引き起こす細胞と考えると思います。確かに白色脂肪細胞は過剰なエネルギーを貯蔵するため、その過剰な膨張は肥満の原因となります。しかし、褐色脂肪細胞やベージュ脂肪細胞は適応性発熱性脂肪細胞と呼ばれ、エネルギーを熱として放散するため、肥満や代謝異常に対する治療効果が期待されるのです。そしてこれらの脂肪細胞の種類に応じた生物学的機能は、免疫細胞、内皮細胞、周皮細胞、神経細胞からなるユニークな組織微小環境によって管理されています。

 脂肪組織マクロファージは脂肪組織に常駐する主要な免疫細胞であり、肥満時には炎症の主な原因となるため、特に注目されていました。しかし、最近の研究により、脂肪組織マクロファージは発熱性脂肪組織において独自の役割を果たし、エネルギー消費と全身のエネルギー恒常性を調節していることが明らかになっています。例えばアセチルコリンを分泌するような脂肪組織マクロファージが発見されるなど、脂肪組織マクロファージはこれまで考えられていたよりもはるかに多様性を持った脂肪組織マクロファージ亜群からなることが次第に明らかになってきました。この点に関連してテキサス工科大学人間科学部のMd. Shamim RahmanおよびHeejin Junらは

The Adipose tissue macrophages central to adaptive thermoregulation
Front. Immunol., 12 April 2022 | https://doi.org/10.3389/fimmu.2022.884126

において、脂肪組織での体温調節(熱が発散されればエネルギーが消費されることになるので、肥満や生活習慣病予防につながると言えます。つまり脂肪組織でいかにエネルギー消費を制御するかはとても重要な課題と言うことになります。)機構に関し、実は脂肪組織マクロファージが中心的な役割を果たしている、という最新の知見をまとめて紹介しています。

 著者らはとりわけ、褐色脂肪細胞やベージュ脂肪細胞に着目してこれらの細胞の活性を制御する新しい脂肪組織マクロファージの亜群が確かに存在することを多くの論文を紹介することで主張しています。

 その上で脂肪組織マクロファージ亜群の活性化を調節し、熱産生経路に着目したメカニズムの詳細をさらに研究することは、脂肪細胞による熱産生と代謝を調節する上で、互いに異なる特徴と機能を定義することに貢献すると思われる、としています。例えば、体温調節を行う脂肪組織マクロファージの機能に関して、外部刺激に対応してサイトカイン分泌や自然免疫を制御するマクロファージ活性化を誘導する因子によって制御されるのか、は今日的な課題であると述べています。

 私たちの研究では経口投与したLPSはインシュリン抵抗性を減弱させることが示されています。このことを著者らの論拠と重ね合わせると経口投与したLPSによる免疫制御が体温調節機構とつながるという新たなLPSの生理的展望を開く可能性があると期待されます。

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