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LPS研究紹介

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LPS研究紹介

マクロファージと糖脂質の最近の話題(17)

抗生物質による腸内細菌叢の乱れは抗原提示細胞とTh1型の免疫反応の誘導に影響を与えることによりガンの発生や増殖を亢進する。

腸内細菌叢の役割に関しては近年大きな関心が寄せられており、腸内細菌叢の乱れは肥満や生活習慣病、自己免疫疾患の発症と関係することや、腸内細菌叢を持たない動物は感染症に非常に弱いなどが明らかとなっています。

それ故に、健常なヒトの腸内細菌叢を炎症性腸疾患の患者に移すと言う糞便移植などの方法が工夫されて、この糞便移植によって炎症性腸疾患が劇的に改善することなどが報告されています。これらのことは、腸内細菌叢は十分に機能的な免疫状態を確立することに本質的に関わっていることを示していると考えられるようになってきています。

腸内細菌叢とガンとの関係に関しては、腸内細菌叢が完全であることがある種類の化学療法剤の効果や免疫療法の効果と関連するなどの報告が既になされており、腸内細菌叢と腸管からは遠く離れたガンであってもそのガンに対する宿主の応答が関連性をもつことが想像されます。

ところで樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞は自然免疫と獲得免疫をつなぐ橋渡し役として重要な外部センサーとなっています。最近、腸内細菌叢と樹状細胞の動的な対話が感染症に対する免疫を獲得する上で重要な役割を果たすことが報告されています。けれども現在のところは、腸内細菌叢がガンに対する免疫応答に関して影響を与えているかどうかについては直接的にはよく知られていませんでした。特にガンが初期に発生する場面において、腸内細菌叢の役割は不明でした。

腸内細菌叢がガン発症にどのような関連性を持つのかは日常生活を考える上でも興味ある視点です。この点に関して

Chengming Xu et al., 2017,Biochemical and Biophysical Research Communications 488,418-424
において、腸内細菌叢がガンの発生や増殖に直接関係あることを動物実験で調べた結果を報告しています。著者らは抗生物質で腸内細菌叢を乱した動物(腸内細菌を約1/10に低下させ、腸内細菌の種類が偏った状態)では、移植したガン細胞の増殖が有意に早いこと、また抗生物質を与えた動物ではTh1(抗ガン効果に繋がる免疫状態)系のサイトカインであるインターフェロンγやIL12,TNFなどの量が減少することや抗ガン作用を持つ免疫担当細胞が減少することを述べて、腸内細菌叢がガンの発生や増殖に関係すると結論しています。

ところで、興味深いことなのですが、抗生物質で低下した抗ガン効果は、LPSを経口投与することで、回復することを著者らは報告しています。即ち抗生物質による言わば副作用とも言うべきガンの発生や増殖をLPSが食い止める働きをするということです。ガンの初期の発生は全く知ることができません。それを考えると普段からLPSを摂取することは発ガンを予防する効果があることを示唆する報告と読むことができます。

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