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LPS研究紹介

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マクロファージと糖脂質の最近の話題(28)

高齢者の特定の組織マクロファージの機能障害(貪食など)は、インフルエンザによる肺炎後の筋肉回復を阻害する。

ここのところ新しいタイプのコロナウイルス(SAR-CoV-2)が世界的に感染を拡大して、特に高齢者の死亡率が高い事が大きな問題になっています。予防法も治療法も確立されていないこのコロナウイルスの爆発的感染を防ぐことが今や国際的な大問題になっています。そして現状では外出しないなどの社会的・経済的に大きな痛みを伴う消極的な対策しか有効な手立てはないという状況になり、東京などの大都市を封鎖することまで真剣に議論されています。何とかしてこのSAR-CoV-2による感染症(COVID-19)に積極的に立ち向かう方法はないのでしょうか?

SAR-CoV-2による死因の殆どのものは、重症呼吸器症候群、肺機能が著しく傷害されることによるいわゆる呼吸不全です。そして呼吸不全に陥る患者は圧倒的に高齢者や基礎疾患がある方が多いという事もいわれています。これに対して若齢者では、SAR-CoV-2に感染しても症状は出ないか、普通の風邪程度でCOVID-19の中味に差があることになり、この差が高齢者の死亡リスクの高いことと関連しそうです。

この点に関連して、インフルエンザAウイルスの感染モデルを用いて、ウイルス感染後の筋肉再生に着目し、高齢者と若齢者との差を明らかにした論文(総説)がありますので、ご紹介したいと思います。

Alexander V. Misharinet et.al.は、bioRxiv doi:http//dol.org/10.1101/833236
において、インフルエンザAウイルス感染症後の筋肉組織の再生が高齢者では若齢者より著しく遅れることを報告しています。筋肉組織は呼吸を含む内臓の運動、骨格筋による体の運動に直結しますので、高齢者で認められる筋肉組織再生の障害は肺機能障害、や骨格筋委縮、心不全等を引き起こし生命に関わります。そして彼らは高齢者で認められるインフルエンザAウイルス肺炎の後遺障害としての筋肉組織の再生の障害は、筋肉にある組織マクロファージ(筋肉マクロファージ)の貪食能が低下することに関係していると主張しています。実際高齢者では、筋肉マクロファージの貪食能が若齢者に比べて有意に低下していることも調べられています。つまりインフルエンザAウイルス感染による肺炎が原因と思われる組織マクロファージの貪食機能不全が死亡率の増加と関係しているという訳です。

さてSAR-CoV-2感染では肺炎が起こり、それが高齢者では重篤化して死亡率が高くなるとされています。そうするとSAR-CoV-2感染により高齢者では肺の組織マクロファージである肺胞マクロファージの機能不全が起こって死亡率を上げることに繋がっているかも知れません。経口投与のLPSはマクロファージを賦活化しますので、もしかするとSAR-CoV-2感染による肺炎に対しても有効性が期待されるかもしれません。(実際は高齢マウスと若年マウスを用いた実験です。)

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