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LPS研究紹介

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マクロファージと糖脂質の最近の話題(31)

やはり、BCG接種はコロナ予防や重症化阻止に有効である

BCG接種がコロナ感染症の予防に効果があるとの指摘は免疫学者を中心に早くから言われています。

日本ではどういうわけか、マスコミや政府などがこのことを取り上げないために多くの皆さんは知らないでいると思います。けれども海外からはBCG接種、それも特定のBCG株の接種を受けた国ではコロナの発症率も重症化率も低いことが続々と発表されていて、BCG接種によるコロナ予防の可能性はますます確実になりつつあると言って過言ではありません。

ご存じの通りBCGは結核予防のワクチンで、国によって法律により義務的に接種が行われています。日本でもBCG接種は義務であり、満1歳になるまでに東京172株のBCGを原則全員が受けなくてはいけません(結核予防法)。

 

このように義務的に接種されるBCGが果たしてコロナ感染予防に働くかどうかは重要な問題です。この点に関して、京都大学の研究グループが義務的なBCG接種がコロナ予防に有効である、との論文を発表しました。

 

京都大学こころの未来研究センター 北山忍 特任教授(ミシガン大学教授)らの研究グループの発表で論文はSci. Adv. 2020; 6 : eabc1463 5 August 2020(オープンアクセス) に以下の題名で報告されています。Martha K. Berg*, Qinggang Yu, Cristina E. Salvador, Irene Melani, Shinobu Kitayama*「Mandated Bacillus Calmette-Guérin (BCG) vaccination predicts flattened curves for the spread of COVID-19」

この論文では、BCG接種を義務化している国、していない国をそれぞれ130か国以上選び、できるだけ報告バイアスがかからないようにするために、国ごとの流行初期感染が始まって30日間で発症率と死亡数を調べました。

その結果2000年までにBCG接種を義務付けている国とそうでない国との間に明らかな差がありました。この結果から著者らは義務的なBCG接種はコロナ発症に予防的な効果があると結論しています。

結核予防のためのBCGがどうしてコロナ感染症に予防的な効果を発揮するかのメカニズムはまだ解っていません。BCGの結核予防は結核菌に対して獲得免疫が誘導されることによると考えられていますが、BCGにはそれ以外の働きがあることになります。それが自然免疫活性化作用です。ここで重要なのがBCGはグラム陰性菌ではありませんが、菌外膜にLPSと極めて構造の良く似た糖脂質を持っているということです。そして、結核菌の糖脂質はTLR4を刺激して自然免疫を活性化する作用があることです。ですからBCGのTLR4からの刺激は自然免疫細胞に免疫訓練をして、様々な感染症に予防的に働くのではないかと考えられます。

LPSは良く知られているようにTLR4を介して自然免疫を制御します。そうするとLPSには、BCGで発見されている効果と同等のあるいはそれ以上の効果が期待できる可能性が十分にあります。ワクチンと違いLPSは経口・経皮投与では副作用はありませんから、コロナ予防にはうってつけの免疫制御物質であると考えて良いでしょう。

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