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LPS研究紹介

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LPS研究紹介

マクロファージと糖脂質の最近の話題(27)

傷害を受けた光受容体シグナル伝達は一過性のマイクログリアの傷害箇所への動員により機能を回復する。

私どもの研究からLPSがマイクログリアを活性化(プライミング)してアルツハイマー症による神経の傷害を回復させる可能性が強いことが示されています。

アルツハイマー症では脳内に蓄積した異物(τタンパク質など)が神経細胞を死滅させその結果広範囲な脳萎縮を伴う認知症が起こることが原因ではないかとされています。しかし、このことは現在では必ずしも正しくない、あるいはアルツハイマー症の全部を説明できる原因ではないとの考え方が主流となってきています。最新の考え方はアルツハイマー症を含む認知障害は一種の老化現象として捉えられ、様々な原因で神経細胞が死滅してその結果として起こるということです。

一方で長いこと神経細胞は一旦死んでしまうと再生しないと考えられてきたため、脳の神経障害は治ることがなく、また発症後はそれを治療する方法がない、と考えられています。

これに一石を投じたのが、一度ご紹介した、神経免疫学革命の著者である、ミッシェル・シュワルツです。彼女はマイクログリアが神経修復に関与すること、そして脳の神経細胞も再生することなどを証明して、マイクログリアの適切な活性化が重要としています。

要するに原因がなんであれ、認知障害は脳の神経細胞の死滅の結果であることは共通しているので、死滅した神経細胞をなんらかの方法で再生させることができれば認知症の新規治療法が開発されるという事に繋がりますのでマイクログリアの積極的な活用はこれまでにはない新規メカニズムによる治療法として有用である可能性が期待されることになります。

この場合、傷害がある神経細胞に選択的にマイクログリアが集まるかどうかは、マイクログリアが治療効果に繋がるかを考える上で重要です。この点に関してEric B. Millera,et.al.はPNAS | August 13, 2019 | vol. 116 | no. 33| 16603–16612において、光受容体の傷害(具体的には網膜です。)が起こった際に、マイクログリアは傷害がある個所に一過性に集積して結果的に光受容体のシグナル伝達を回復させる可能性に関して報告しています。

彼らは特殊な方法を用いて、この事実を解明しました。このことは確かにマイクログリアは傷害がある領域に特異的に集積することを証明したことになり重要な知見です。

残っていることは、マイクログリアを適度に活性化することが重要という事ですが、この点についてはLPSの経口投与によって確かにマイクログリアは活性化(プライミング)されること、LPSの経口投与によりアルツハイマー症は寛解するという私たちに研究で明らかです。そうするとLPSは様々な原因で起こる認知症に対して極めて有効な治療法となる可能性があり、今後の研究に大きな期待が持たれると考えています。

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