自然免疫制御技術研究組合
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経済産業省認可
文部科学省科学研究費助成事業指定研究機関

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代表理事挨拶

自然免疫制御技術研究組合は、2010年経済産業大臣の認可を得て発足した四国では初めて全国では13番目の技術研究組合です。技術研究組合と言うとあまり馴染みがないかもしれませんが、この組織は事業活動において利用される技術に関して、組合員が自らのために共同研究を行う相互扶助組織(非営利共益法人)で、研究開発のプラットホームです。以前は鉱工業組合法という法律の元に設立されており、スイカなどよくご存じの交通系電子マネーシステムは技術研究組合で開発されたものです。2009年になって、技術研究組合による研究開発を広く進めイノベーションを起こす起爆剤にすることを目的として法律が改正され、例えば研究開発終了後に会社化して研究成果の円滑な事業化が可能になるなど、大幅な見直しが図られた技術研究組合法が成立して現在に及んでいます。

私どもの技術研究組合は自然免疫制御に着目して素材としては組合員企業が取り扱っている糖脂質(リポ多糖)を中心において、糖脂質がどのようなメカニズムで自然免疫を制御し、様々な病気を予防したり治癒させたりするのかという解明が急がれる分野の研究を進めています。そして自然免疫は健康を維持し疾患を予防する上でとても重要な役割を担っていることが明らかにされてきておりますし、最近は脳機能を健全に維持する上でも自然免疫が必要不可欠な役割を持つことが発見され、自然免疫を制御するというこれまでにない新しい技術で認知機能の向上や認知症の予防も可能になるかも知れないと期待が高まっているのです。

しかし自然免疫分野はまだ基盤ができあがってからそれほど時間が経過していない新規な研究領域であることや、とりわけ自然免疫を制御する優れた物資として私どもが発見し経口・経皮で活用している糖脂質は、10年ほど前までは健康維持に有用とは全く考えられず、むしろ注射をすれば発熱などを引き起こす物質として悪名が高かったのです。ですから糖脂質を用いて自然免疫を制御して様々な難病の治療や健康の維持に役立てるためには、これまでの免疫研究を止揚するパラダイムシフトが求められるのです。このように科学技術にパラダイムシフトが求められる時には志を同じにするメンバーが集結して、これまでの常識にとらわれない形で研究グループを形成し研究開発を展開することがブレークスルーを早めると考えられます。

技術研究組合はまさに以上の研究開発を進めるとても優れた制度です。糖脂質を通じて広く社会貢献を進めたいと考える組合員は糖脂質を展開することに繋がる新規な研究成果を求めます。それ故ニーズに基づいた基礎研究の展開が組合研究の中核をなすことになります。組合の研究は組合員からの賦課金で成り立っており研究内容は組合員の創意を受けて決定されます。つまり社会的な要望と成果は相互に影響を与え合い、正のスパイラルを形成して基礎研究の質と量を高めることに繋がります。従ってこのような枠組みの中から社会的に有用な技術開発の芽吹きが齎されると確信を致しております。今後とも自然免疫制御技術研究組合の活動をご支援頂きますと共に、得られる成果にも是非ご注目頂きますことをお願いして、ご挨拶とさせて頂きます。

代表理事 杣源一郎
代表理事:杣 源一郎
経歴
1977年3月
東京大学・薬学部・製薬学科卒業
1982年4月
明治薬科大学・薬剤学科・助手
1983年7月
薬学博士(東京大学)
1986年4月
帝京大学・生物工学研究センター・助教授
1989年11月
有限会社バイオメディカルリサーチグループ設立
1992年1月
帝京大学・生物工学研究センター・教授
2000年9月
徳島文理大学健康科学研究所、人間生活学部・教授(~2014.3)
2006年7月
自然免疫応用技研株式会社・取締役会長(兼任)
2007年4月
香川大学・医学部・統合免疫システム学講座教授(~2018.3)
2010年3月
自然免疫制御技術研究組合代表理事(兼任)
2014年4月
新潟薬科大学特別招聘教授(兼任)(~2019.3)
2019年4月
新潟薬科大学客員教授(兼任)

研究本部長挨拶

自然免疫制御技術研究組合は2009年に技術研究組合法が改定されてから生物系としては二番目に設立された技術研究組合です。当組合では自然免疫が健康を維持する基盤的な機構であることに着眼し、外界との接点である経口、経皮からの制御による健康維持についての研究を行う組織です。特に、糖脂質(リポ多糖、LPS)を有用分子として取り上げています。

医学・薬学領域において歴史的にLPSはエンドトキシンであり、炎症誘起物質としての研究が盛んに行われてきました。現在でも、LPSで炎症を起こすことが多くの動物モデル実験で行われています。確かに、LPSを注射すると色々な疾患モデルになります。ですので、LPSの有用性を研究していると聞くとちょっと驚かれるかもしれません。そのことについて少々説明致します。LPSはグラム陰性細菌の細胞外膜に存在している脂質と糖鎖からなる物質ですが、Toll様受容体(TLR)と呼ばれている多くの細胞が持つ受け皿があります。無脊椎動物や下等脊椎動物、高等脊椎動物などほとんどの多細胞動物がLPSと反応します。植物も反応します。さて、LPSがこのように広く多細胞生物と応答することについて考えてみます。ヒトのゲノムにも細菌由来の遺伝子が入り込んでいますから何億年も多細胞生物は細菌と共存してきたと考えられています。近年、腸管に100兆個、皮膚に1兆個ともいわれる共生細菌の健康維持機能が次々と明らかにされています。多細胞生物が発生した初期から共生細菌が存在していて宿主と共生細菌とのクロストークを介して健康状態を維持してきたと言えます。そこにLPSが利用されていたと考えてもおかしくはないと考えています。

LPSが腸管や皮膚などで健康維持に関わる環境物質として働いていることは多くの証拠があります。つまり健康維持においては、LPSは経粘膜的に情報が利用されているが、傷などで生体内への細菌の侵入に際しては敏感に炎症が誘起されていることで健康が維持されているといえます。本技術研究組合においては、LPSの経口摂取、経皮投与での研究をこれまで実施してきました。主な課題は、1)有用微生物の探索、糖脂質の解析及び利用技術の開発、2)糖脂質の糖鎖構造の解析(グライコリピドオーム解析) と利用技術の開発、3)メディシナルケミストリーに基づく糖脂質医薬品の基盤技術開発、4)付帯事業(委託研究、リテラシーの形成、製品の企画・調整、動物施設運営)になります。1)では、種々の有用な共生グラム陰性細菌の単離とそのLPSの有用性についてライブラリー化を含めた研究、2)ではLPSの構造と機能の相関性を解明して、腸管や皮膚の健康維持、疾患予防や治療にそれぞれ効果の高い構造を明確にする研究、3)では合成糖脂質を含めた医薬開発研究を行っています。

近年の大きな研究テーマとしては、LPSのアルツハイマー型認知症に対する予防・治療効果を明らかにして、そのメカニズムを解明することです。このためには、動物実験やヒト試験も行って行く必要があります。さらに医薬品としての開発も目指しています。このために、現在は自然免疫グループとして多くの大学などとも連携して取り組んでいます。

平成26年度から30年度までは内閣府のSIP研究「戦略的イノベーション創造プログラム(次世代農林水産業創造技術)のホメオスタシス維持機能をもつ農林水産物・食品中の機能性成分多視点評価システムの開発と作用機序の解明のテーマについて代表研究機関として採択されました。本プロジェクトでは、これまでにない生体の健康維持を評価する仕組みとして、持続的な蓄積により慢性炎症が起こり生活習慣病を引き起こす生体内異物を作らない(酸化ストレス評価)、溜めない(酸化LDL評価)、排泄する(食細胞貪食能評価)という多視点評価システムの開発を浜松ホトニクスなど全15機関で実施してきました。現在、ほぼ測定システムが完成し、1000名にもなるヒト試験を実施し、その有用性を明らかにしつつあります。

本組織は小さな技術研究組合ですが、発想の新しさと粘り強く問題を解決していくことで、これまでに多くの論文発表や特許申請してきました。これからもLPSの粘膜での有用性の研究を推進して参りますので、ご支援賜りますようよろしくお願い申し上げます。

研究本部長 稲川裕之
研究本部長:稲川 裕之
経歴
1980年3月
埼玉大学・工学研究科・修士修了
1983年3月
新技術開発事業団水野バイオホロニクス研究員
1987年10月
帝京大学・生物工学研究センター(助手)
1988年4月
薬学博士(帝京大学)
1995年4月
医療法人社団高野会高野病院研究部入職(主席研究員)
2000年12月
徳島文理大学健康科学研究所(特別研究員)
2003年6月
独立行政法人水産大学校生物生産学科准教授(~2009.12)
2006年7月
自然免疫応用技研(研究開発担当取締役副社長)(兼任)
2010年3月
自然免疫制御技術研究組合(研究開発部本部長)
2011年4月
香川大学医学部統合免疫システム学講座・客員准教授(~2017.3)
2017年4月
香川大学医学部統合免疫システム学講座・客員教授(~2018.3)(兼任)
2016年4月
新潟薬科大学特別招聘教授(兼任)(~2019.3)
2019年4月
新潟薬科大学客員教授(兼任)

自然免疫制御技術研究組合

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